南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

SFTS とは何か(2)

きのうから、SFTSに関してお話ししています。

前回の復習をしておきましょう。

 

▶︎SFTS重症 熱性 血小板減少 症候群

Severe(重症)

Fever  with(熱性)

Thrombocytopenia(血小板減少症)

Syndrome(症候群) の略

病原体はSFTSウイルス

▶当初、ウイルスを持ったマダニが人を刺して感染が成立すると考えられていた

▶しかし感染動物から直接、人へ感染することが判明した

死者がでたケースもある

 

ざっとこんな感じでした。

昨日は

SFTS感染猫から人への症例」

について紹介しましたが、

SFTS感染犬から人への症例」もあります。

 

www.nikkei.com

 

このケースでも、飼主の男性は犬に咬まれてはいません。

この犬が体調を崩したので看護していたのです。

感染源は恐らく唾液だと考えられます。

 

さて、では一体どのくらいの症例が

報告されているのか?

 国立感染症研究所の発表を見てみましょう。

 

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高齢者を中心に感染者が多く報告されていますね。

注目すべきは、致死率です。
合計393人のうち、死亡例が64人。

 

致死率は 16.3%

 

感染症の致死率として、かなり高いと言えます。

補足しますと、この393人という数字は

2013年に国内で初めて感染が確認されてから

現在までの累積数です。

死者の数も同じく累積数ですが、

これら全てが動物からの感染ではありません。

マダニに刺されて直接感染した、

あるいはどこで感染したのかわからない、

という症例も含みます。

 

だいたいのところ、

毎年60人程度が感染し、

10人程度が死亡している

 という認識を持つ必要があります。

 

そしてその中には、前回お話ししたように

「動物からの感染」

も含まれるというわけです。

なぜ私がボランティアさんに注意喚起するのか。

 

・状態の悪い子を保護する機会が多い

・ボランティアさんの中には、ご高齢の方も多い

 

このことからボランティアさんという集団全体で見れば、

感染リスクも死亡リスクも高いことが推察されます。

 

次に、発生地域を見てみましょう。

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西日本を中心に分布しています。

特に中国・四国・九州で報告が多くなっていますね。

 

症例数・分布などもっと詳しく知りたい、

という方は国立感染症研究所のHPをご覧ください。

https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/3143-sfts.html

 

今日は、

SFTSの致死率は約16%であり、

西日本を中心に感染が見られる

ことを押さえておきましょう。

次回に続きます。

 

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