南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

お薬屋さんとの会話

我々がふだん普通に話していることでも、
一般の方にはわかりづらい言葉があります。

往診先で携帯に着信がありました。
お薬の問屋さんからです。
飼い主さんにお断わりして対応しました。

「先生、ご注文のフェノバールですが」
「ああ、フェノバール」
「チューでお間違いございませんか」
「ええ、チューです。ジョーじゃなくて」
「いつもジョーをご注文いただきますので」
「今回は、チューでお願いします」
「かしこまりました」

電話を切って、飼い主さんに
「失礼しました、お薬の確認で」
すると不思議そうな顔をされます。

「先生、電話のフェノ何とかというのは」
「薬の名前ですよ」
「同じ薬でも色々あるんですねえ」
「何がです?」
「チューとかジョーとか」
「ああ、フェノバールは両方あるんです」
「ゲもあるんですか」
「えっ?何です?」

おわかりでしょうか。

私と薬屋さんで確認していたのは、
「剤型」の話です。
フェノバールの錠剤であるのか、
フェノバールの注射液であるのか
についてです。

この業界では、これを略して
「〇〇錠」とか「〇〇注」と言ったりします。

これがフェノバールの錠剤すなわち、
「フェノバール・ジョー」

こちらがフェノバールの注射液すなわち、
「フェノバール・チュー」

それを飼い主さんは、
フェノバールという薬には
「上、中、下」がある
と勘違いされたわけです。

確かに、何も知らなければ
上中下だと思いますよね‥‥。

ちなみに全ての薬に
錠剤、注射剤の両方あるわけではありません。
錠剤だけの薬、注射剤だけの薬もあります。

いやそれにしても、
慣れというのは恐ろしいものです。
本当に気をつけないと‥‥。