南の往診獣医さんのブログ

往診獣医が獣医師ならではの視点で動物のこと、社会の出来事、その他の話題についてオリジナルイラスト付きで書いています。

たかが紐、されど紐

 

まずこの写真を見てください。

往診先で撮ったものです。

 

f:id:oushinjuui:20200123002916j:image

 

子犬の足が写っていますね。

そして地面の上に落ちているのは‥‥。

 

f:id:oushinjuui:20200123002954j:image

 

「ひも」です。

 

ここへは狂犬病の予防注射に来ました。

注射のあとすぐ帰ってよいでしょうか。

 

いいえ、それはいけません。

飼い主さんに「ひもの危険性」について説明せねばなりません。

犬も猫も、「ひも」を誤飲することがあります。

 

なんだ、「ひも」くらいの事で‥‥。

 

ところが、ひもは大変危険です。

ひもは複雑に曲がった腸の中を移動しながら、腸管をアコーディオン状に圧迫。

しばしば腸を切ってしまいます。

取り出すためには開腹が必要な場合も‥‥。

ですから、ひもが動物の近くにあってはいけません。

 

もちろん、このことをよくご存じの飼い主さんもいます。

‥‥しかし。

盲点もあります。

 

子犬や猫は「ひもを自分で作ってしまう」ことがあります。

 

そもそも、さきほどの写真のひもはどこから来たのでしょうか。

 

次の写真を見てみましょう。

 

f:id:oushinjuui:20200123004650j:image

 

これは土のう袋です。

ポリエチレンのひもで織り込まれたものです。

風化して劣化し、一本一本がほぐれています。

いや正確に言えば、ほぐしたのは‥‥。

 


f:id:oushinjuui:20200123004653j:image

 

彼です。

 

特に、乳歯が抜け変わる時期の子犬は何でも咬みたがります。

猫もひも状のものでよく遊びます。

 

皆さんも身近なところに「ひもになるもの」が無いかどうか、チェックしてみて下さい。

 

 

f:id:oushinjuui:20200123014548j:image