たかが紐、されど紐
まずこの写真を見てください。
往診先で撮ったものです。
子犬の足が写っていますね。
そして地面の上に落ちているのは‥‥。
「ひも」です。
ここへは狂犬病の予防注射に来ました。
注射のあとすぐ帰ってよいでしょうか。
いいえ、それはいけません。
飼い主さんに「ひもの危険性」について説明せねばなりません。
犬も猫も、「ひも」を誤飲することがあります。
なんだ、「ひも」くらいの事で‥‥。
ところが、ひもは大変危険です。
ひもは複雑に曲がった腸の中を移動しながら、腸管をアコーディオン状に圧迫。
しばしば腸を切ってしまいます。
取り出すためには開腹が必要な場合も‥‥。
ですから、ひもが動物の近くにあってはいけません。
もちろん、このことをよくご存じの飼い主さんもいます。
‥‥しかし。
盲点もあります。
子犬や猫は「ひもを自分で作ってしまう」ことがあります。
そもそも、さきほどの写真のひもはどこから来たのでしょうか。
次の写真を見てみましょう。
これは土のう袋です。
ポリエチレンのひもで織り込まれたものです。
風化して劣化し、一本一本がほぐれています。
いや正確に言えば、ほぐしたのは‥‥。
彼です。
特に、乳歯が抜け変わる時期の子犬は何でも咬みたがります。
猫もひも状のものでよく遊びます。
皆さんも身近なところに「ひもになるもの」が無いかどうか、チェックしてみて下さい。