おなかの、虫?
「おなかの虫」とか「虫下し」という表現があります。
この場合の「虫」とは、いわゆる昆虫ではありません。つまり足が6本あったり、羽根があったりする生き物がおなかの中に住んだりはしないということです。
これはある駆虫薬のパッケージに描かれているイラストですが、ご覧のように昆虫ではありません。
いわゆる消化管内寄生虫と呼ばれるものです。
「うちの子がハエを食べたので、虫下しを飲ませたい」
「セミを捕まえて食べました!虫下しが欲しいです!」
この場合、残念ながら虫下しを飲ませても効果はありませんし、そもそもハエもセミもお腹の中では生存不可能です。
ただ、
「じゃあ野外の生き物を食べても虫下しは必要ないのか」
というと、そうではありません。
以前このブログでも書いたように、世の中には
「おなかの虫を運ぶいきもの」
が存在します。
そして彼らは、必ずしも虫とは限りません。
カエルやヘビ、トカゲなどは虫ではありませんが、彼らは消化管内寄生虫を体内に持っています。
彼らを生で食べたら寄生虫の被害にあう可能性があるわけです。
もちろん寄生虫の感染経路には様々なものがあり、昆虫の中には寄生虫を媒介するものもいます。
また糞や土壌からも寄生虫の感染を受けることがあります。
ただ少なくとも
「昆虫を食べたらお腹に虫がつく」
というわけではなく、
「何であれ寄生虫を持っている生き物を生で食べるとおなかに虫がつく」
ということは言えると思います。
くれぐれも
「カエルは虫じゃないから、食べてもおなかに虫はつかないな」
という発想はしないようにしましょう。